トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ23)

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A「ね、どこ行くの？」

涼介のことだから
カフェか雑貨屋さん、だろうけど。

涼介「行ったことないカフェあるの見つけたから、そこ」

A「へー、地元でまだ行ったことないとこなんてあったんだ？」

予想通りの目的地。

引っ張られた鞄を持ち直しながら
涼介の隣を歩こうとした。

けど。

涼介「駅からちょっと歩くみたいでさ…

ってA、傘は？」

A「………持ってない」

涼介「はぁあ？
いや、朝、俺言いましたよね？
雨降るから傘持ってけって、」

A「だって！本当に降るなんて思わなかったんだもん！」

涼介「…まーったく、世話の焼ける子だよぉ！」

呆れたように溜め息を吐きながら、
涼介は持っていた傘を広げる。

涼介「ん、」

そのまま広げた傘を少しだけ上に掲げて、
私を迎え入れてくれた。

A「………ありがと」

涼介「おー、これでAのおごり決定した」

A「おー、マジか」

いつもの見慣れた駅前の交差点を抜けて
二人、肩を並べて歩く。

ふと、涼介が私に聞いた。

涼介「おまえさ、傘持ってないのに
どーやって帰ってきたわけ？」

別に悪いことをしたわけでもないのに、
何故かギクリ、とする。

気付けば駅前の雑踏を抜けていて

私の耳には涼介の質問の余韻と、
傘を打つ雨の音だけが響いた。