トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ22)

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自宅の最寄り駅に着いたと同時に、
メッセージアプリの通知でスマホの画面が光った。

思わず顔が緩んでしまうのを必死に堪えて、
改札を出てしまう前に
構内の柱の影でカメラアプリを起動させる。

セルフモードでスマホの画面に写っている
自分の前髪を素早く直した。

(よし！)

改札の向こうを軽く見渡せば
すぐに、見慣れた彼の姿が確認できた。

A「涼介、」

改札の外。

数秒前に私が身を隠したそれと
同じ形状の柱に寄りかかっていた涼介は、
私の言葉に反応して顔を上げた。

涼介「遅ぇーよ」

その芸術品のように端正な顔から
飛び出したのは不機嫌を纏った言葉。

A「うそ、
そんなに待ってないでしょ？」

涼介「いーやすげぇ待ったわ、全然待った」

私だと確認するなり文句をつけられても
全然気にならないのは、

目の前の人物が丸い大きな目が半分になる位、
頬を上げて笑っているから。

涼介「もー待ちくたびれて腹減った。

…Aちゃーん、
お詫びになんかおごってくれるよな？」

甘えるような声を出す涼介に
肩を組まれて、苦笑をもらした。

A「やーだよ。涼介、三分でもすげぇ待った、って言うじゃん！」

涼介「三分だろうと一分だろうと
待たせた事に変わりないでしょーが。

はい、とりあえず行きますよ」

本当は一旦家に帰って、
制服を着替えたかったけど。

これ以上相手を待たせられない。
…それ以前に待つ気もなさそう涼介に、
鞄を引っ張られた。