トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ11)

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A「…新しい環境、って苦手なんだよね。

私、あんまり人に好感持たれないみたいで」

今までは、涼介がいたからどうにかなった。

でも、もう自力で頑張らないといけない。

侑李「そう？そんなことないと思うけど」

不思議そうに尋ねる知念くんに、
肩をすくめて笑う。

A「………男の子、だからじゃない？」

そう言いながら、
目の前を通った何かに顔を上に向ける。

朝は気付かなかったけど
満開の桜の木が道の端にあった。

侑李「…桜。

今年寒かったから
丁度いま満開になったね」

A「……うん」

思わず立ち止まった私に合わせて
知念くんも桜を見上げた。

A「お花見、してないな…」

春休み。
涼介はレッスンやら何やらで忙しかったし。

私は私で、
高校から出ていた課題に追われていた。

顔を合わせることはあっても、
ゆっくりと話す時間なんてなかった。

毎年一緒に行っているお花見も、
今年は行っていない。

侑李「…帰ろうか？」

A「あ、うん。ごめんね」

侑李「いいよ」

左右に首を振って、
知念くんが優しく笑う。

その表情に一瞬ドキッとして、
見とれた自分に戸惑って俯いた。