トルアイアングル...Ryosuke&Yuri... (ページ2)

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恨めしそうにこっちを見てくる涼介に
ちらりと目を向ける。

A「ていうか涼介、
どうせ二つも三つも持ってるくせに」

涼介「そうだけど、まじ寒いんだっつーの」

A「ではここで問題です。

今日わりと真剣に頑張らないと高校浪人なAちゃんと、もう私立に受かってるお気楽な涼介くんと、どっちがカイロが必要でしょう？」

涼介「…はいはい、あげます。あげますって」

今日は都立高校の一般入試の日。

自分を追い詰めるために私立併願をやめた私にとっては運命の日になる。

A「うわ、やばい…」

涼介「A？」

A「涼介…どうしよ。
急に緊張してきた」

鞄をガサゴソと漁って、
私は赤いお守りを取り出した。

祈るような気持ちで、それを握り締める。

神さま。

涼介「あ、そのお守り、
こないだ買ったやつじゃん」

俺も持ってきた。と、
涼介もポケットから同じお守りを取り出した。

A「なんかこれが一番効く気がして」

…涼介と二人で買ったやつだし。

半月前のバレンタインデー。

涼介の私立受験の前日の昼間に、
近くの神社で買ったお守り。

どうか、涼介と一緒に。

望みが薄いことが分かっているからこそ、
願わずにいられない。

芸能活動を優先すると宣言して、
早々と受験戦争から離脱した涼介。

お世辞にもレベルが高いとは言えない高校に合格が決まって、もう全く都立に受かる気はない。

涼介「そんな緊張しなくても、俺がいるから大丈夫でしょ」

A「…そうかな？」

涼介「そうだって！」

な？と笑顔で覗き込まれて、
私も少しだけ笑った。