22 ページ22
.
駅前には噴水があって、
よくここで山田くんと待ち合わせしたっけ。
帰りがたくて、
離れがたくて、
いつまでも一緒にいたかった。
そこで、話をしていたかった。
そんな中学時代の思い出が蘇って、
見慣れた景色が今日はなんだかいつもより
いとおしく感じた。
それはやっぱり『山田くん』効果なんだろう。
あの頃の自分は、もう其処にいない。
そんな事実に、時間の流れに、心を痛める。
昔好きだった男の子に、
自分以外の恋人がいて、
ーーー自分にも婚約者がいて。
それぞれの未来へ進むんだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから家に帰ってもぼんやりした想いは続いた。
「…会わなければ、やっていけたのに。」
ぽつり、呟く。
でも、実際そうなんだ。
あの、たった2〜3分間。
それでも、会わなければ。
直に声を聞かなければ。
その目と目を合わせなければ。
彼に私の名前を呼ばれなければ。
私は優太と、うまくやっていけたんだ。
.
270人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:環 | 作成日時:2020年9月12日 19時