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A「……っ、なんで…、ここに…？」
掠れた弱々しい声で問うと大貴くんは、
してやったり、というような笑みを浮かべた。
その顔にくらりと眩暈すら感じつつ、
ゆっくりと体を起こす。
具合はどうですか、と心配そうに声をかけてくれた駅員さんに丁重にお礼を言って、二人で駅員室を後にした。
時間軸が変わっていなければ、
かなり遅い時間だというのにざわざわという人の声。
行き交う人の姿で溢れるこの場所。
此処は、私が最初にドッペルゲンガーと出逢った後に飛ばされた、あの駅だった。
二人並んで歩きながら、大貴くんが
ぽつり、夜の空気の中に声を零した。
大貴「会える気はしてたけど、本当に会えるとはね。」
ゆっくりと顔を大貴くんのほうに向ける。
街頭の明かりに照らされたその顔には、
もうすっかりと見慣れたやさしげな笑顔が浮かんでいた。
A「どうして…ここにいるの？」
大貴「…向こうの世界から帰って、すぐ駅行かなきゃ、って思ったんだよね。
行ったらAに会えるって、なんかそう確信してた。」
A「…もう、会えることなんてないって…思ってた。」
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作者名：環
| 作成日時：2020年8月13日 10時
