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驚いて顔を上げると、私たちの距離はさっきよりもずっと縮んでいて、先輩の顔がすぐ目の前にある。
光「違くて…、」
A「……え？」
光「そうじゃなくて。
…………過去形とか、やめて。」
A「八乙女、先輩？」
掴まれた腕が熱い。
突然のことに私はただただ驚いて。
体を固まらせたまま、
目の前の先輩を真っ直ぐに見つめていた。
光「ずっと考えてた。
元カノに会えて嬉しいとか思うのも、突き放すこと出来ないのも、俺がきっとまだ引き摺ってるからなんだろーなって。」
A「……実際、そうなんでしょう…？」
光「俺もそう思ってた。でも、」
A「……？」
光「でも俺、ずっとAのこと考えてんだよね。
話題の店の話してても、映画の話してても、共用廊下で女子と擦れ違っても、花壇の世話してても、
思い出すのは元カノじゃねんだ。」
頭がうまく回らない。
だって先輩は、あの人が好きで。
大好きで。
何をしてても、いつだって彼女のことばかりで。
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作者名：環
| 作成日時：2019年11月6日 20時
