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光「嬉しい、って……そう思った。」
知ってるよ。
知ってたよ。
だから先輩は、私と向き合わなくなったんだ。
彼女を好きだった気持ちが、
まだそこにあると気付いてしまったから。
光「そんな風に思ったのに、それでもおまえと一緒にいる俺ってなんなんだよ、って。
卑怯だし、自分勝手だし、でも……、」
先輩は一度も目を逸らさない。
苦しそうに、悔しそうに、
それでもきっと全てを伝えようとしてくれている。
分かっていたはずの先輩の本心。
それが先輩自身の言葉になって、
……胸が痛まないわけじゃない。
だけど、
光「Aに、嫌われたくなかった。
離れていってほしくなかった。」
彼女のことなんて聞きたくないと思いながら、
昔のように何でも話してほしくて。
彼女が気になっていると知りながら、
その先に進みたくなくて。
笑顔で感情を隠した。
私の感情も行動も矛盾だらけだった。
それでも私はきっと望んでいた。
傷付くことが分かっていても、
先輩が本心を打ち明けてくれることを。
そしてその中にほんの少しでも、
私の存在があったことが嬉しかった。
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作者名：環
| 作成日時：2019年11月6日 20時
