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光「…………。」
A「…………。」
だけど以前よりも離れた距離。
途切れる会話。
気楽とは程遠い空気。
すぐに現実に引き戻された。
光「……俺さ、無理してたわ。」
A「え？」
光「格好つけてた。」
A「…………。」
光「最初はあんなに弱音吐いて喚いててさ。
おまえのこと頼って、強がりも見透かされて…格好悪いのなんて知ってるって言われてたのにな。」
少しの沈黙の後、八乙女先輩は静かに口を開いた。
自嘲気味に笑いながら、
それでも普段の先輩とは違う、冷静な低い声。
光「それでも、見せたくなかったんだよ。
おまえはあんなにまっすぐ俺を見てくれてたのに、
俺はお前に何もしてやれなくて。
自分の気持ちもはっきりしなくて。」
A「…………。」
光「だから、誤魔化してた。笑って、俺は迷ってなんかない、悩んでなんかないって。
……完全に逃げてた。
そっちの方がよっぽど格好悪りぃよな。」
気付いてた。
だって、私も同じだったから。
先輩が悩んでいること分かっていて、
違和感を感じていて、
それでも先輩が笑っているなら、と
見ない振りをした。
このままでいれば、先輩が彼女の元に戻ることはないなんて、卑怯な考えを持っていた。
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作者名：環
| 作成日時：2019年11月6日 20時
