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A「……先輩、あの…、」
光「失くしてごめんな？心当たりのあるとこ、全部探して見つけてきた。」
どうして？
今更それを見つけてどうするの？
無くしたことをずっと気に病んでいた？
だから、私にそれを伝えたかった？
先輩が何を伝えたいのか、どうしたいのか。
意図が掴めない。
混乱して戸惑う私の手のひらにキーホルダーを置いて、先輩はそのまま私の手を握った。
光「A。」
先ほどまで冷静で穏やかだった先輩。
なのに今は、見て分かる程にその手に力が込められている。
光「俺の思ってること、全部正直に伝える。
Aに、聞いてほしんだ。」
私自身も戸惑っていたから、気付かなかったんだ。
先輩もきっと、
どうすればいいのか分からなかった。
久し振りに顔を合わせて、
どう声をかけて、何から話せばいいか。
緊張して、
せめて自分は冷静にいようと言い聞かせて。
今はもう、固く握り締めた手も、
緊張した表情も、隠し切れていない。
光「…聞いてくんない？」
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作者名：環
| 作成日時：2019年11月6日 20時
