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「A！」
その声に反射的に振り返らなかったのは、
もはやそれが習慣になっていたから。
遅れてやってきて、軽く謝りながら、
その声が徐々に近付いて。
呆れながら溜め息をついて、
隣に並んだ先輩にようやく視線を向ける。
鼻唄混じりで楽しそうに水やりを始める先輩の姿に拍子抜けして、怒るのも忘れて、
その笑顔につられるように笑った。
光「久し振り。」
だけど、先輩とはもう担当場所も、時間も違う。
接点は無くなった。
その声は間違えようもないけれど、
振り向くことを戸惑った。
でも私は先輩に大丈夫だと伝えたんだから。
今まで通りにしなくては。
笑って、
突然どうしたんですかって、
そう言えばいい。
A「…突然どうしたんですか、八乙女せん…、」
振り向いて、
視界に入った八乙女先輩の姿。
言葉が途切れてしまったのは、
久し振りに話すことに緊張していたからじゃない。
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作者名：環
| 作成日時：2019年11月6日 20時
