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後ろを決して振り向かずに、眩しいくらいのイルミネーションの中を私は歩き続けた。
様々な色が点滅して、沢山の音楽が流れているのに、私の中には何も入ってこなかった。
「………、」
止まらずに歩みを進めていけば視界がぼやけて。
いつしか前が見えなくなった。
「……………っ……ひっ、……っ、」
嫌だった。
何も知らない振りをしていたかった。
日に日に強くなっていく想いを。
先輩との時間を。
終わりにしたくなかった。
先輩のことを傷付けた人に、
渡したくなかった。
苦しくて、苦しくて、
胸が締め付けられるような。
こんな痛みは知りたくなかった。
「………ふ、……うぇ、……っ、…、」
この気持ちは同情なのかもしれない。
そんな風に考えたこともある。
先輩の姿を見て元気をもらっていたから、
落ち込んでいる先輩を放っておけなかった。
でも、一緒に過ごしていく時間が増えるほどに、
もっと彼の傍に居たくなった。
この幸せを手放すことが怖くて臆病になった。
些細な出来事に喜んで、
何気ない一言で落ち込んで。
先輩からしたら私の感情は読みにくかったかもしれないけど、
振り回されていたのはきっと、いつも私だった。
いつの間にか貴方の存在は、
こんなにも大きくなっていた。
間違いでも、同情でもない。
誰かを想って、
こんなにも感情が揺さぶられたことなんて、ない。
私は確かに貴方に惹かれ、
恋を、していた。
貴方のことが、大好きでした。
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作者名：環
| 作成日時：2019年7月17日 22時
