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宏太「あいつ、面倒っしょ？」
A「っ、だから知ってるって……、」
宏太「色々、と。」
A「……。」
薮先輩が意味有りげに私を見つめた。
余裕の笑みが、
私の心を見透かしているような気がする。
A「……どういう意味、ですか？」
宏太「どういう意味だと思う？」
もしかして私、からかわれてる？
薮先輩は本当に暇潰しで、自分の友人のことを好きだと言っている後輩を見に来ただけかもしれない。
八乙女先輩をからかうみたいに、
その後輩とやらもからかってみよう、とか、
そんな軽い気持ちで。
宏太「……ふーん。なるほど。」
A「な、何がなるほどなんですか？」
宏太「『いろいろ』の意味は、分かってんだ。」
A「っ！！」
宏太「何も考えず突っ走って光に付き纏ってるわけじゃない、と。ならよかったよかった。
……うん？別によくはねーか。」
A「……薮先輩…、本当に暇潰しなだけ、ですか？私に何か言いたいことがあるんじゃないですか？」
宏太「お？なに、告白とか期待させた？」
A「そういう冗談、いらないです。」
宏太「つまんねーの。」
薮先輩が指す『面倒』は、
きっと惚気でも、愚痴でもなく、
八乙女先輩のもっと根本の部分にある。
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作者名：環
| 作成日時：2019年7月17日 22時
