XYZ…Ryosuke.Y (ページ1)

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A「え？」

聞き慣れない単語のあと、
良く知る名前が聞こえた。

耳を疑った。

隣に座るのは、高校からの友人。

社会人になった今では勤務先が近い、という理由でちょくちょく飲みに行く。

そんな友人に向けて、
私は相当間抜けな顔を見せているのだろう。

友人は私を見ることなく、
カクテルの入ったグラスを一度テーブルに置いた。

そうしてその形の良い唇は、
また同じ言葉を紡ぐ。

侑李「結婚するんだよ、涼介。」

カラン。

別のグラスに入っていた氷が滑り落ちる音がした。

友人の言葉は、
不思議にもストン、と胸の奥に消えていく。

涼介が結婚。

その未来を想像していなかったわけではない。

ただ、私の中の涼介は、学生のまま生きていた。

遠く離れたあの日から。

どれだけの時間が流れたとしても、
涼介はあの頃のまま。

私はその隣で笑っていた。

笑っていたかった。

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