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先輩は知らない。
あれから私は何度も、八乙女先輩の様子を見に行こうとしていたこと。
声をかけて、何か話すべきなのかと迷っていたこと。
メッセージを送ってみようと、文章を作っては消していたこと。
あれだけ正直に気持ちを伝えたというのに、
勢いが止まれば、途端に冷静になる。
そのときのことを思い返しては不安になって、
一つ一つの行動にも臆病になった。
光「……あのさー。…怒んなよ?」
A「なんですか?」
光「俺、Aと前みたいに話せなくなんじゃねーかって思ってた。
…でも、おまえが今まで通りで、ほっとしたわ。」
余所余所しくなったり、やっぱり一緒にはいられないって避けられたりしたらどうしようって、何度も考えていた。
だから、私も先輩と同じで。
変わらなかった関係に安堵している。
八乙女先輩は私の気持ちに応えてくれたわけじゃない。
ただ、受け入れてくれただけ。
一歩前進ではあるけれど、先輩が前の彼女を引き摺っていることに変わりはないんだ。
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作者名:環 | 作成日時:2019年4月14日 10時