32 ページ32
.
光「俺の話だっていっつも最後まで聞いてくれるけどさ、面倒だったら面倒だって言っていいんだぜ?」
A「え、それ既に言ってますけど。」
光「いや、違う。俺知ってっから。その言葉はAの愛情の裏返しだ…って。」
A「……。」
別に八乙女先輩を信頼していないわけじゃない。
負担とか、迷惑を気遣ってのことでもない。
気を遣う、遣わない以前の問題。
だって私がずっとひっかかっているのは、
八乙女先輩のことだから。
「ありがとな、A。」
たった、一言だった。
会話の中のちょっとした一言。
素直に伝えてくれた感謝の言葉。
嬉しかった。
喜んで笑ってもいいくらいだったのに。
どうしてあの時、息が詰まって泣きそうになってしまったんだろう。
考えてみても明確な答えは出てこなくて、
そこにどんな感情があったのかすら分からない。
ひとつ、可能性を考えもしたけれど、
私はそうならない前提を知っていたから。
あの日からも変わらず先輩の彼女の話を聞いて、
弱音を聞き続けて。
それでも悲しくなることはなかったし、
うざったいと思えば伝えたし、
声をかけたいと思えばそのまま行動した。
何が原因かはわからないけれど、
あれは一時的なもの。
そう、結論づけた。
.
236人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:環 | 作成日時:2019年4月14日 10時