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侑李「ねえ、A、」
私はきっと、侑李に恋をする表情をしている。
侑李に焦がれる目をしている。
でも、
侑李「僕は、Aが１番好きだよ。」
いつからか、侑李も私に恋をする表情をしていた。
私を焦がれる目をしていた。
いつから、だなんて、
考えることが出来なかった。
だって侑李はいつでも私を大切にしていてくれたから。
A「私も、侑李が１番好きだよ。」
私たちは、お互いにそれぞれ好きな人がいた。
その傷を埋めたくて付き合い始めた。
一緒に涙を流す相手が欲しかっただけだった。
そんな恋人ごっこから始まった私たち。
侑李「A…あのさ、」
A「…何、」
いつしか、
その関係が本物に変わる日を夢見ていた。
侑李「僕と、付き合わない？」
A「――、いいよ。」
その日、私たちは初めてのキスをした。
泣いてばかりいた私たちの拙い恋はきっと、
次の春が来るころには大きく育っている。
きっと私たちは、
これまで通り二人でこの道を歩いている。
これまでとは違った表情で。
幼稚で滑稽で、
不器用な私たちはこれからも必死に恋をしていく。
懸命に誰かを想っていく。
いつか、
この恋が本物の愛へと変わるその日まで。
フェイクラバーズ
END
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終わり
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作者名：環
| 作成日時：2019年2月23日 10時
