フェイクラバーズ③…Yuri.C (ページ16)

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大貴「大体さー、どうでもいい奴のために夜中に人のこと叩き起こして怒鳴り散らしたりしねーって。」

叶わない恋を想いながら、
私たちは互いのことも想い合っていたはずだ、と。

誰よりも、焦がれた相手以上に、
私たちはお互いを大切にしようとしていた、と。

そう思ってみても、いいだろうか。

大貴「俺からしてみれば、おまえら二人とも。
二人にしか見せない顔ばっかしてたよ。」

それこそが、大切な気持ちだとしたら。

大貴「ほら。噂をすれば。」

A「……え？」

大貴「あいつ、俺のためには、息切らして走ったりしてくんねーだろなー。」

涙に濡れた顔を上げれば、道の先に侑李の姿が見えた。

大きく上下しているその肩は、大貴の言葉通りに息を切らしている。

背中に、優しい衝撃が走る。

大貴が押してくれたのだ、ということはすぐに分かった。

A「……大貴、」

ちくしょう。

失恋した相手に肩を押されるなんて、情けない。

そう思ってすぐに、
この人も私に失恋したのか、と考え直す。

馬鹿みたいに幼稚な、

私たちの恋だった。

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