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涙が零れ落ちた。
侑李を好きだ、と
泣いた私の頭を、再び大貴が撫でた。
そうして、漸く私たちはバイト先までの道のりを歩き始める。
まるで、私たちの間にあった誤解が解けて、
全てのわだかまりがなくなったことを象徴しているかのようだった。
緩やかな時間が心地良い。
大貴「なんか安心したわ。」
A「なんで大貴が安心すんの。まだ自分のことが好きだったら困るわー、って？」
それは、我ながら意地悪な質問だった。
仮にも好きだった相手に投げかけるようなものではなくて。
少し、侑李に似てきたのかもしれない。
大貴「違ぇよ。あいつの"らしく"ない姿は見たくないってことー。」
A「……何それ。」
大貴の言葉の意味は汲み取れなかった。
代わりに肩を竦めてみせたけれど、
考えてみれば仕方ないのかもしれない。
彼は、私たちが想い合って付き合い始めたと思っているのだろう。
侑李の気持ちが、私にはないことなんて露とも知らない。
A「侑李は…私に執着なんてしてないよ。」
ぽろりと零してしまった言葉。
でも、今となっては隠す必要もない。
大貴に気持ちはバレているわけだし。
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作者名：環
| 作成日時：2019年2月23日 10時
