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幸い、今日の授業は午前中の一コマだけだったけれど、どうしても人がいないから、と泣きつかれて久し振りに夕方までバイトに入った。
無限に出る欠伸を何度堪えたことか。
A「ねむ……」
だけど、迎えに来る侑李にこの事実は知られないようにしなくてはいけない。
彼のことだからまた面白がるに決まっている。
そして込み上げてくる欠伸を押し込めながら、外を見つめた。
いつの間にか街並からは緑が消えて
随分と冬らしい景色になった。
日が落ちるのも早く
その景色すら今は薄暗くぼやけて見える。
ストールを首に巻きながら、
そういえば、と思い出す。
A「風邪、大丈夫なのかな。」
そうだ、
今日は私がココアでも淹れてあげようか。
それとも風邪には暖かい蜂蜜レモンの方がいいだろうか。
少しだけ侑李の家にお邪魔することにして、
でも蜂蜜もレモンも家に常備してある気がしない。
買い物をして行った方がいいな。
だけど今日に限ってお財布を家に忘れてしまった。
一回家に帰っても良いのだけど、
私の部屋で侑李を待たせるのは、なんとなく嫌だ。
夕方には帰る、と朝言っていた母が
彼を構いたがるから。
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作者名：環
| 作成日時：2018年12月18日 15時
