フェイクラバーズ②…Yuri.C (ページ34)

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「侑李にあげる。」

侑李「は、何言ってんの。
僕はこんなものもらったって嬉しくないよ。」

それを侑李にあげようとする彼女の真意が分からない。

侑李も私と同じようで、
心底疑惑に満ちた顔で店長を見上げている。

そこに一体どんな仕掛けがあるのだろうか、と訝しんでいるようだ。

ただ、店長と、その後ろで新郎の男の人が穏やかに微笑んでいるだけ。

「だって私、侑李には幸せになってほしいから。」

侑李「………は？」

ぽかん、と口をだらしなく開いたその顔は、
私が初めて見た侑李の表情だった。

そうして、その表情は彼女だからこそ引き出せるものだと言うことに気付いたのは、そのすぐ後。

花嫁からブーケを受け取った者は次に幸せになれる、というジンクスがあることを思い出したのは、それから更に後だった。

「侑李を、よろしくね。A…、

Aちゃん。」

A「え、あ……、はい。」

最後に私に向けて微笑んだ彼女は、また綺麗な笑顔を侑李へと向けて新郎の元へと戻っていってしまった。

侑李「…………。」

残された侑李はと言えば、
そのブーケをただ凝視していて。

私は、そんな侑李を凝視していた。

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