フェイクラバーズ②…Yuri.C (ページ31)

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彼の完璧なまでもの恋人っぷりは、その不器用で分かりにくい優しさによるものでもあった。

…なんて。

そんなことを思えば思うほど、
困ってしまうことになるのに。

侑李「シフト出たんでしょ、今日。」

A「あ、うん。大丈夫だった。お休み。」

侑李「そ。ま、休めて当然だけどね。」

何故か勝ち気に微笑んで振り返った侑李に、
一瞬見とれた。

少し伸びた前髪。

笑った時に細くなる目。

広がることのない身長差。

自然に繋がれた手。

そのどれもが、眩しい。

そう思った。

侑李「じゃあ、結婚式、よろしく。」

A「あ、うん。こちらこそ…。」

＊＊＊＊＊

教会の厳かな鐘の音が鳴り響く。

店長の相手は、至極優しそうで、
如何にも大人の男性と言った感じの人だった。

そう言えば侑李がかつて、

感じ悪いんだよねあいつ、

と言っていたのを思い出す。

それはたぶん、幾多の経験を重ねなければ得ることのできないであろう貫禄と雰囲気を、
彼が持ち合わせていたからに違いない。

自分が到底及ばないと言う事実が、

侑李には悔しかったんだと思う。

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