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侑李「元々、上手くいくまで時間は掛からないって思ってたけど。」
まさか、旅行中に上手くいくとはね。
侑李が、溜め息混じりに言った。
口元には歪な微笑が貼り付いている。
いつもの、私に向ける何かを企んでいるような薄ら笑いとは違う、ひどく歪んだ口元。
泣きたい、だろうか。
緩やかに手を伸ばした。
侑李「……何？」
A「泣かせてあげようと、思って。」
ポン、と。
数ヶ月前、侑李が私にしてくれたように
頭の上に手を置いた。
ポンポン、と何回か軽く頭を撫でる。
無愛想な顔をして、侑李が口を尖らせた。
侑李「…誰かさんとは違うんだよ、僕は。」
それから、哀しそうに笑った。
緩やかに目を閉じて。
一瞬、泣いているようにも見えたけれど、違った。
A「侑李？」
俯いた彼の表情は見えない。
室内の電気に照らされたお互いの影が奇妙に歪んでいた。
侑李「Aさ、」
A「ん？」
侑李「僕がココ辞めたら、どうすんの？」
A「え？」
目を開けた侑李は、唐突にそう言った。
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作者名：環
| 作成日時：2018年11月3日 16時
