フェイクラバーズ…Yuri.C (ページ5)

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一番近しい存在とはいえ、
私は勘違いをできるような身分じゃない。

旅行から帰ってきた大貴が一番に逢いたかったのは、私じゃなかったことも知っていた。

だから、大貴が出来るだけ彼女との時間を大切にしていることも知っていた。

バイトで疲れているであろう、
今日この日だって。

ご丁寧に髪を整え、これから彼女と過ごさないで誰と過ごすというのか。

早々にバイト先を退散した彼の残像を見つめながら、私は嘲笑した。

侑李「A、」

A「……侑李…また来たの？」

侑李「とっくに仕事終わってるくせに、いつまでも控え室に一人で残ってるAにそういうこと言われたくないな。」

コン、と短く扉に甲を押し当てる音が響いてから、名前を呼ばれた。

振り返らなくとも、
その主が誰だかは分かっていて。

だから敢えて、
緩慢な動作で顔を其方へと向ける。

A「あ、そうだ。」

侑李「何。」

A「卒業？卒店？引退？
なんかとにかく、おめでとー。」

侑李「…ああ…、どうもお世話になりました。」

控え室内へと歩みを進めて、
近付いてくる侑李に告げた。

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