フェイクラバーズ…Yuri.C (ページ30)

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それがまた画になってしまう容姿をお持ちの知念侑李様は、そうしてお近付きになる最後のチャンスを待ち構えていた女子を悶絶させる。

私はと言えば、侑李の代わりに振り返ってしまったが為に、呆れたように笑った大貴の優しい眼差しに眩暈がしていたという異常者だったわけで。

A「いいの、侑李？」

その後ろ姿を追いながら、
先日と同じ質問を投げかけた。

侑李「いいよ、どうせまたすぐ会うし。」

あのままあの場にいてもお店に迷惑だし、僕だって大変な目に遭うし、と続けたのはあれだろう。

最後の日こそ彼に――、という女子だ。

侑李に彼女が出来たらしいという噂はバイト先という狭い空間では瞬く間に広がったけれど、

命短し恋せよ乙女という言葉よろしく、最早終焉を迎えてしまう恋ならば当たって砕けろ。
ついでに話せれば儲けもの。

ーーなんて考えるほど女子とは逞しく、
恐ろしい生き物だ。

そして何度も言うように、当たって砕けられるほどの強靭な心を持ち合わせていない私と侑李こそが、

彼女たちの目には理想の完成形に見えていることが申し訳ない。

だけど悪いのは私じゃない。

侑李のその容姿が。

彼がうっかり恋をしてしまった相手が
眉目秀麗な従姉であったということが。

それからついでに、
私を見捨てて可愛い女の子に走った大貴が。

その全てが、悪いんだ。

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