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私はそんな侑李とのやりとりに、
幸せを噛み締めるべきなのだろう。
けれど、私の頭の中を占めるのは、
大貴たちもこんな風に話すのだろうか、
なんていう陳腐なことだった。
こうして2人の時間を過ごし、また当たり前のように2人で会う約束をするのだろうか。
そんなことを考える私は、
なんて侑李に失礼なのだろう。
侑李と付き合いたい、と、
夢見ている女の子は大勢いるだろうに。
その夢を叶えた当人は他の人が好きだなんて、
一体どんな冗談だというのか。
そして侑李自身も、付き合っている相手ではない想い人がいるだなんて、笑えもしない。
私たち2人にしか通じない、茶番劇。
A「……忙しそう。」
侑李「…何、僕が暇だから迎えに来てるとでも思ってたわけ？」
A「いや、そういうわけじゃないけど。」
カフェで待ってる、と言われた日。
バイトが早上がりだったので、こっそり様子を見に行ってみれば、侑李は一番奥のテーブルの窓際の席に腰を据えていた。
眼鏡をかけて、数冊の書籍を広げ、ノートパソコンのキーボードを叩く侑李に対して思わず零れた呟きに、彼は顔を上げないまま応えた。
A「……帰らない、の？」
侑李「まだ、途中。」
A「……そっか。」
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作者名：環
| 作成日時：2018年11月3日 16時
