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A「っ、大貴！」
大貴「てか知念来てんじゃん！何やってんの？」
そこで、ガチャ、と扉が開いて声が飛び込んできた。
聞き慣れたそれは、大貴のもの。
不思議と耳に馴染む、その声。
侑李「……Aにお餞別でももらおうと思って。」
大貴「ははっ！あんまりAいじめんなよー？」
A「…………、」
侑李は、何気なく私と距離を置きながら大貴に声を投げかける。
スタスタと向かっているのは自分の制服が掛かっているロッカーか。
大貴の気遣いが、胸にチクリと刺さる。
そんな私の様子をちらりと見やってから、また侑李が声を掛けた。
侑李「大貴こそ、何やってんの。」
大貴「や、なんか忘れ物したっぽくてさ、取りに来ただけー。すぐ帰っから！」
侑李「あ、そ。」
そう言って、大貴はロッカーの中からCDらしきものを取り出して踵を返した。
「大ちゃん？」
A「っ、……、」
大貴「おー、ちょ、待って。」
高い声。
侑李のより、私のより高い、女の声。
勿論、私のではない。
大貴「わりぃ、やっぱロッカー入れてたわ！」
控え室のドアからひょっこりと覗いたのは、
大貴の彼女だった。
私たちに気付くと、彼女は
お疲れさまです！と会釈をして。
そして大貴から、ＣＤを受け取る。
ありがとー、と笑った顔は、
やっぱり私なんかよりずっと可愛かった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年11月3日 16時
