イエスorイエス②…Daiki.A… (ページ35)

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思えば、本当に聞きたいことは
結局最後まで聞くことが出来なかった。

胸中を占めるのはそのこと。

さまざまな疑問を抱きながらも、
結局自分の弱さに負けて逃げてしまった。

本当は聞きたかった。

雄也みたいに。

ちゃんと聞けるように、なりたい。

いつか、大ちゃんにも

『あの時は…』

そう笑って、聞けるようになれるだろうか。

心の中で決めたことに、僅かに鼻の奥が痛む。

精一杯気にしない振りをして、
やっと取り出した鍵を差し込んだ。

開けた扉の隙間に体を滑り込ませると、冷えた風も一緒に部屋の中へと入ってきた。

ポストからはみ出していた郵便物を広い、下駄箱の上に鍵を置いて、壁の照明スイッチを探して明かりをつけた。

明かりのついた廊下に、買ってきた物を置く。

慣れた手つきで後ろを振り向いて、玄関の鍵をかけた。

「ただいま…。」

「おかえり。」

返ってくるはずのない声に思わず息を飲み込む。

季節はずれの汗が浮き出て、一瞬身を硬くした。

鍵はしっかり締めて行った。

今朝方、慌ててはいたが、

それはしっかりと。

きっちりと。

いや、でも、そうじゃない。

この声は。

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