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「光くん、私本当にバカだった。」
学校に来て開口一番、放った言葉に光くんと傍にいた雄也が目を丸くする。
互いに視線を投げ合って、それから首を傾げた。
光「な…んだよ急に？」
雄也「朝っぱらからすげー顔。」
自分でも分かってる。
酷い顔してる、って。
A「…大ちゃんに、聞けなかった。
なんで聞けなかったのかも、分かった。」
溢れそうになった涙を堪えながら言葉を続ける。
光くんが慌てて座っていた席を立って、
そこに私を座らせた。
光「おい、どーしたまじで。浮気でもされたんか？」
A「…分かんない。
でも、私はそれを聞けなかった。
光くんたちよりも私の方が、大ちゃんのこと信じてなかったんだよ。」
語尾が震える。
ぎゅっと目を閉じたのと同時に雫が宙を舞った。
雄也「何があった？」
そっと肩に手を乗せて雄也がゆっくり目線を合わせてくれて、心配そうなその顔を見てしまったら、もう止まらない。
次から次へと雫が流れる。
A「私、大ちゃんに不安に思ったことを聞いたりしたら、きっと裏切られるって、そう思ってた。
だから、ずっと聞けなかった。」
光「…A、」
A「聞いたら、もうこの関係が終わるんだ、って、彼氏と彼女じゃいられなくなるんだ、って思ったら、怖かった。」
雄也「…ちゃんと聞いてから別れれば？」
A「無理だよ、聞けない。
このまま、別れる。」
私の言葉に、二人はそれ以上何も言わず、
ただ息を飲んだ。
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作者名：環
| 作成日時：2018年8月26日 15時
