イエスorイエス②…Daiki.A… (ページ37)

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大貴「防犯、防犯っと。」

後ろからもう片方の腕が伸びてきて、鍵を締められる。

自分の顔の横を通り過ぎた腕を、
ただじっと見つめることしかできなかった。

ただただ、心臓が、破裂しそうで痛い。

触れられている右腕が、

熱くて切なくて、苦しい。

すぐ後ろに感じる相手の気配に、声が出ない。

今から、何をされるのだろう。

今さら、何を言われるのだろう。

恐怖が脳裏を過る。

後ろで大ちゃんが息を吸ったのが分かって、
自然と身構える。

大貴「俺、別れねーから。」

彼らしくない、酷く硬い声だった。

そう言うなり大ちゃんは私の腕を掴んでいた手をパッと離して、そのまま部屋の奥へと向かっていく。

いま、大ちゃんは…なんて…？

ただ茫然と、立ち竦んで、
言われた言葉をもう一度自分の中で反芻する。

意味を理解して、
胸の中に何か温かいものが広がった。

先程まで、もっとひどい罵声でも浴びせられると思っていた。

まさか、

聞けるなんて思っていなかった言葉に、
慌てて前を向くと靴を脱いで部屋へと上がり込む。

買い物した袋に足が触れて、

がさ、と音を立てた。

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