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どうしたらいい？
光くん…雄也に、言う？
今すぐに頼るものがない恐怖に腕を抱き抱えるようにして身を縮める。
大ちゃんに、言う？
こんな時、どうしたらいい？
立ち上がることもできなくて、膝足でベッドに戻る為にぎこちなく動き出す。
ふいに、背後で扉が動く音がした。
ドアノブがまわり、施錠した鍵に引っ掛かる。
ガチャン、と背中から聞こえた音に、
今度こそ恐怖で声を忘れた。
振り向きながら、扉から離れようと尻餅をついたまま後退する。
あまりの恐怖で心臓が爆発しそうだ。
物凄い勢いで血を送り出していて、
背筋に冷たいものが走る。
私がただ見守るしか出来ない中、
今度は鍵穴を探る音が聞こえた。
何かを差し込む音が聞こえたのと同時に、体全体が心臓になったかのような、バクバクと大きな音がしているのが分かる。
とにかく離れなきゃ、と頭の中で分かってはいるものの、体がうまく動かせない。
荒い息を吐きながら視線は扉に向けたまま。
視線の先の鍵が金属音と共に横から縦に回った。
それを見た瞬間、背中からゾクリと悪寒が走り抜けて緊張で鳥肌が立った。
「っ！…ひっ、」
カチャリ。
扉が開いた。
だけど引かれた扉はドアロックによって最後まで開ききることはなかった。
ガコン。
ドアロックが引っ張られて金属が当たる音がする。
「へ？…あれ？
なん、なにこれ？」
扉の向こう側から聞こえた声に、
張り詰めていた緊張が一気に解けた。
安堵の中に紛れた刺すような痛みが鼻をツンとさせる。
どうして。
会いたくなかったはずなのに、
会うのが怖かったはずなのに、
それは、
今一番聞きたくて、
安心する声だった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年8月26日 15時
