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先に反応したのは、
意識だったのか、聴覚だったのか。
睡眠から1時間経たないうちに、
扉を叩く音で目が覚めた。
コンコン。
扉を2回叩く音が静かな部屋に響き渡った。
(…………大ちゃん…かな……？)
意識と感覚が半分目覚めた状態で、重たい体を半分起こした。
先ほどのノック音以降何も音が聞こえず、
欠伸を噛み殺しながら床に足をつける。
一歩前に踏み出そうとしたとき、机の上に置いてあるスマホを繋げていた充電器のコードに足首が引っ掛かり、思わず前のめりになった。
危うくスマホを床に落としそうになったけれど、それは机の上を滑るだけで事なきを得る。
転びそうになった態勢を立て直して、側にあったチェストに寄り掛かると、視界に入ったスマホ画面が光を発していないことに気が付いた。
緩慢な動作でテーブルの上のスマホを手に取ってホームボタンを押すと、そこでは日付が一日増えていて、時刻は0時を回ったことを知らせている。
それ以外にメッセージも電話も、通知はない。
まさか、スマホを忘れた？
そろりと足音を立てないように玄関に向かう。
薄闇の中、玄関の扉が見えて、
身体が冷水を浴びたように竦んだ。
半端に起きていた脳が、一気に覚醒する。
違う。
大ちゃんじゃない。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月28日 23時
