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雑に畳まれた白衣を広げて袖に腕を通す。
鞄を抱えて、傍に立ち自分を待ってくれている光くんの隣に並んだ。
光「…いつ来るとか、連絡ねーの？」
A「うーん…最近はない、かな」
光「なーんで家の鍵なんか渡したかね。
おまえは有岡の、持ってねんだろ？」
A「…うん。」
廊下を歩きながら顔を覗き込まれる。
目元はあまり見られたくなくて、
控えめに顔を伏せた。
コンシーラーにファンデーションを重ねた上からでも寝不足が分かるなんて、酷い顔をしてるに違いなかった。
光「向こうにAが行くのは？」
A「前は行ってたけど、最近は大ちゃんがうちに来てる、かな。」
光「……それってさ、」
光くんが口を開いた時、私が付けていたピアスが髪に絡まって一瞬、顔を歪めた。
一度外そうとスクエア型のそれに手を伸ばしていると、光くんがその様子を目に留めながら、気まずそうな顔をした。
光「家、来られたら困るからじゃねーの？」
A「なんで？」
思いもよらぬ言葉に、即座に尋ねた。
だけど、私の問いに光くんは黙した。
その沈黙から、理由を読み取る。
A「んー、そういう、こと？」
大ちゃんが、
『私に部屋に来られては困る事がある。』
つまり――、
別の女性の存在があるのではないか。
.
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月28日 23時
