メルトサマー②…Ryosuke.Y... (ページ30)

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1日早く寮に帰ってきて、
荷物を置いて直ぐに寮から出て行った。

帰ってきたけど、とメッセージを打ったら、
グラウンド、と返事がきた。

また鏡の前に立って、ずっと落ち着いてくれなかった心臓をそのまま持って、学校の方へ走り出した。

すると、寮の前を走ってる途中で突然、
A！と呼び止められ、私は振り返った。

少し暮れていく空の下で見たのは伊野尾君だった。

慧「よ、久し振り～。」

A「あ…、久し振り。もう、帰ってきてたんだ？」

慧「あー、俺ら地区予選でしぶとく勝ち残ったの、今回。ベスト4なんて初だよ、初。
だから練習の許可出て、1週間前？から戻ってんの。」

言葉通り、久し振りに会う伊野尾君は、
室内で部活動をしているとは思えない肌の色をしていて、それが伊野尾君のもつ儚さとは相反してみえた。

柔らかい笑顔は夏休み前通り、健在している。

私は勝手に色々考え込んで、
どんな顔して会えばいいのかと悶々してたのに、

伊野尾君は変わらない、いつものテンション。

慧「Aは？なんで今日帰ってきたの？」

A「あ、えっと……、」

どう、言えばいいのか。

今更あいつに会いに行く、なんて言ったら、
やっぱりな、なんてことになるのかな。

言葉に詰まってると、高い位置から覗き込むようにしていた伊野尾君は、あー、と声を出した。

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