メルトサマー②…Ryosuke.Y... (ページ28)

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私の心臓は、
初めてあいつとキスをした時よりも騒がしかった。

初めてデートした時よりも、

自転車であいつの背中にくっついた時よりも、

怒って目の前が真っ黒になった時よりも、

離れることを決めた時よりも、

今までのどの時よりも、
今が一番ドキドキしている。

夏が溶けて、
長い休みもようやく終わろうとしていた。

明日になればこの寮にも生徒たちが戻ってきて、
今度は冬に向かってまた学校と寮を往復する。

私は毎年寮に戻ってくる日より1日だけ早く、
此処へ戻ってきていた。

休みは1ヵ月半もあったのに、
終わる直前になって美容院へ行き、服を買い、急いで寮に戻る準備をした。

そうして準備万端にして戻ってきたものの、
寮に着いてみれば何故か張り切った自分がやけに恥ずかしく感じて、

短いスカートを引っ張って少しでも長く、
セットした髪をぐしゃりと散らして、

重ね過ぎたオシャレを削り落とした。

グラウンドの時計はもう直ぐ7時を指そうとしてるのに、空はまだ薄ら明るい。

夏休みの終わりは夏の終わりのはずなのに、
まだまだ半袖でも十分暑いし、風は生ぬるい。

1年前と、同じ風が吹いている。

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