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私はやっぱり、
あいつが好きなままだ。
最初からただ、
あいつが好きなだけだった。
傷付いて苦しんだことも、
悲しくて泣き続けたことも、
全部、私の中であいつの存在が大き過ぎたから、
その反動も大きかっただけ。
私は、ずっとあいつが好きだった。
あいつが好きなだけだった。
馬鹿みたい。
勝手にもがいて苦しんで、
好きだということを否定したくて、
心底嫌って逃げ回って、
なのに私の手元に残っているのは、
あいつの感触と熱。
頭に残るのはあいつの呼ぶ声で、
ああ好きなんだ、と認めてしまえば、
私はこんなにも穏やかだった。
そうして生まれたのは、
ただ会いたいということだけ。
これじゃ去年と同じだ。
私は何も変わっていない。
熱病のようにあいつを想って、
いま、何してるんだろう、
何考えてるんだろう、って其ればかり。
「あー………、」
会いたいなぁ。
会いたい。
心の中で繰り返す。
空は青く突き抜けて、
私の想いは昇り募って、
降り注ぐ眩しい光と
侵されそうな熱気の中、私は繰り返す。
すき。
あいつがすき。
ただ、あいつがすきなんだ。
蝉とサッカー部の声が響く中、
小さくポケットの中のスマホが震えた。
私はなんとなく、分かった。
ただ期待していただけかもしれないけど、
強く確信した。
「………はい、」
遠い、
同じこの空の向こうから届く、
その電波の先が、
涼介『……………俺。』
絶対に、あいつだと。
.
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月16日 19時
