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もう、色んなものがうちとは違って見える。
部員同士の殺伐とした空気も、
練習中の厳しい声もない。
ころころとラインを割るボールは、うちなら直ぐにでも罰走を喰らいそうなくらいなもので、拙いものに見える。
「……10番、」
ボールをもらってシュートを打つユニフォームの背中に白い文字で揺れる数字が見えた。
そういえば、久々だ。
こうやってフェンス越しにグラウンドを見つめてサッカー部を見るのは。
こうして見ていると入り混じる部員の中からたった一人を見つけ出すのはなかなか苦労するけど、
あの時の私には背中のナンバーなんて見なくても、
どれがあいつか、直ぐに分かっていた。
「………、」
毎日のスケジュールを時間通りにこなすサッカー部は、きっと今頃昼休憩を取っている時間だ。
………いや、それは中学の時の予定で、
今はどうか分からない。
学校にいるのかな。
あいつは練習に入れているのかな。
…まだ、外されているのかな。
……あの時、私とあいつはお互いに発する言葉が見当たらなくて、どれだけの時間を黙って過ごしたか分からなかったけど、
直ぐに校内放送が流れて、
あいつは職員室に呼ばれていった。
多分私たちが離れた後に、
伊野尾君の怪我が先生にでも見つかったのだろう。
二人とも職員室に呼び出されて、
それから直ちに寮に帰されて、
球技大会も、その後の夏休みまでの短い日数も学校に来ないまま夏休みに突入してしまった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月16日 19時
