メルトサマー…Ryosuke.Y... (ページ10)

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A「……、」

大貴「忘れろって。別の誰か好きになって付き合ったらもっと楽になるし、そしたらもうあんなやつどーでもいーってなるって。」

A「そう……かな。」

大貴「おまえもう充分傷付いたんだから、これ以上苦しむ必要ねーよ。」

開け放した窓の向こうから誰かの部屋の音楽が流れ込んでくる。

大ちゃんが私の顔にティッシュを乱暴にあてて、
床に落ちた雫も拭いてくれた。

今日一日、久々に見たあいつは私のことなんてまるで気にしてる様子はなかった。

そりゃ私が目を合わさないから、向こうがどんな顔をしてるかも分からないけど。

教室にいる間はずっと友達と笑ってたし、
入学式の間もずっと寝てたし、

多分きっと、あいつは私と同じクラスで面倒だ、くらいに思ってるだけで、何も気にしちゃいないんだろう。

涙を流しすぎて苦しくて、
寝れないことなんてないだろうし、

やっと眠れても見る夢全部にうなされることだってないんだろうし、

1ヶ月近く食事が上手く喉を通らないことだってなかっただろうし、

ストレスで倒れて、
病院にまで行くこともなかったんだろう。

私だって、こんな思いを経験するなんて。

この学校に入学したときも、
あいつと出会って、付き合った時だって

全く思いもしなかったんだから。

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