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もう放課後で、保健室の窓から見えるグラウンドには部活の生徒たちで溢れてて、廊下もざわざわと騒がしかった。
ベッドから立ち上がろうとすると、大ちゃんがカバンを持ってくれて、翼がカーテンを引いてくれる。
すると、翼が窓の外を見て、
あ、山田君だ、
と明るい声を出した。
当然といえば当然だ。
この広いグラウンドの大半を占めているのは、この学園で一番多い部員を持つサッカー部なのだから。
翼「ねぇ、Aと山田君って中3のとき同じクラスだったんだっけ？」
A「…ん？うん。」
翼「全然喋ってるとこ見たことないけど、やっぱ仲良かったんでしょ。」
A「………なんで？」
翼「5限の最初に先生が、Aの席空いてたからそこ誰だって言ってね、そしたら山田君が一瞬、A、って言って、その後で山下ですって言い直してた。」
A「…………。」
翼「山田君が女の子名前で呼ぶの珍しくない？
やっぱ中学から一緒の子ってなんか仲良いよね、いいなぁー。」
私は翼が見ているグラウンドに背を向けながら、ベッドの淵に座ったまま立ち上がれず、動けずにいた。
力の込め方を忘れてしまった、
と言ったほうが正しいかもしれない。
大貴「なあ、Aまだ気分悪りーみたいだからもう少し寝かせとくわ。先帰っていいよ。」
その私に気付いた大ちゃんが、翼に言う。
翼も心配して一緒にいる、と言ったけど、
大ちゃんがそれとなく断り、
翼は先に保健室を出て行った。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
