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薄い水色が突き抜けるような空は
霞んだ白い雲も、
吹き付ける風も、
全て吸い込んでいくようだった。
暑くも寒くもない、
五月晴れ、といったところか。
A「ベンチスタートなんだ。てっきりさっさとレギュラー取っちゃうかと思ったのに。」
宏太「ちょっとくらいの実力差じゃそう簡単に1年にレギュラーなんてくれねーよ。」
A「ちょっと？中等部の時あっという間に先輩からレギュラー取った人がー？」
この4月から広報委員になった私は、掲示板にポスターを貼る仕事を先生に頼まれ、
同じく広報委員になっていた薮君と一緒にお喋りしながら学校中を回っていた。
といっても薮君の他愛のない話は大半がサッカーの話で、そうなると必然的に話題に上がってしまう人間がいるのだけど、
彼は優しい気遣い屋なので、核心からはそれとなく話題を逸らしてくれている雰囲気を感じた。
宏太「A、元気っぽいな。」
A「ん？元気だよ。」
そっか、と笑う薮君は、本当に優しい人だ。
うっかり惚れてしまいそう。
私は、元気ですとも。
寮にいるときも、
友達と遊んでるときも、
廊下を歩いてるときも、
毎日は何事もなく過ぎ去り、私は元気。
ただ教室のドアを越えると、
その瞬間にがくんと気分が落ちる。
笑っていた顔も忘れて頬が下がり、
楽しかったことは上書きされ、
目を伏せる。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
