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伊野尾君は一緒にいると笑いが耐えないし、
彼の柔らかい笑顔には嫌なことを吹き飛ばす力がある。
翼「あ、山田君だ！」
窓から一緒に空を見上げてた翼が、敏感に廊下の先にあいつを見つけて、歩いてくるあいつに寄っていった。
私はその名前をどうしたって耳に入れてしまうけど、もう気分が沈んだり、表情が無くなることはなかった。
伊野尾君が隣で話をしているのを笑いながら、
変わらず空を見ることが出来ている。
慧「ねー、虹の七色って全部言える？」
A「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫？」
慧「え、藍ってどんなの？」
A「青のもっと深い感じ？」
慧「ええー、深い青と青分けんのー？
深い赤とかねーのに？」
窓にぐでっと寄り掛かる伊野尾君と笑っていると、後ろの情景なんて見えてこない。
翼はあいつに見て見てー、と空を指差しているようだけど、自分の笑い声でよく聞こえない。
翼「ほらあそこ、虹が見えてるー。」
涼介「ふーん、」
翼「うわ、素っ気なーい！」
質素な一言だけを落として、あいつはそのまま友達と教室に入っていってしまった。
翼「なんか私、山田君に嫌われてる気がするー。」
慧「翼ちゃんは直球だからねー、直球過ぎてヒくからねー。」
翼「うるさい、イイオ！」
慧「イノオだよ！」
翼「ねぇAー、山田君、私にだけやたら冷たくない？なんでかなぁー。」
伊野尾君の言葉をまるっきり無視する翼の頭の中は、本当にもうあいつしかいないようだ。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
