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それは薄々分かっていたことだけど、
突然だった。
A「………え？」
翼「もう、ちゃんと聞いててよー、恥ずかしいじゃん！」
私の机の前に座り、可愛らしく頬杖ついて
はにかむ翼は、色彩良く頬を赤らめて両手で口を覆った。
こんな距離で話しているのだから、
翼の話は間違いなく聞こえた。
それでも聞き返してしまったのは、
反射的というか、間を作る為、だった。
翼「だからね、私、山田君好きかも！」
A「………へぇ…。」
そろそろ梅雨で天気が悪く薄暗い教室、休み時間で人も少なく、小さなざわつきしか広がっていなかった。
私が此処に座っているということは、
勿論後ろにあいつはいない。
それが良いことか残念なことかは分からないが、
翼は当事者不在の机を見ながら
うふふ、と笑い続けていた。
翼「言わないでよー？絶対。」
A「誰によ…。」
翼「山田君。」
A「…言うわけないじゃん。」
友達に聞いた好きな人を、その相手に言ってしまうなんて、どれだけ最低なんだ。
それはさておき、今までなんとなく言わずにきた私とあいつのことが、これで更に言いづらくなってしまった。
もうこれを機に言ってしまったほうがいいのだろうか。
私があいつと付き合っていたことなんて、
中等部から進学している人の殆どが知っているから何処からか漏れてしまうかもしれない。
翼があいつを好き、と公言するようになってしまったのなら、尚更だ。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月8日 10時
