9 ページ9
大貴「A見てみ、すっげー眺め!!」
A「分かった。分かったからそんなに乗り出さないでって!落ちるよ?」
よく清水寺の舞台から飛び降りるつもりで、
とは言うけど、本当に落ちたら洒落にならない。
というわけで。
私達の学校は修学旅行で京都に来ていたりする。
どうせ行くなら海外が良い、なんて文句を言っていた生徒達も、いざ旅行当日になれば彼方此方で浮き足立っているのが分かる。
中でも有岡のはしゃぎっぷりがすごい。
有岡とは修学旅行の班が同じで席も隣、ということもあり何かと話す機会が多くて、何だかすっかり仲良くなってしまった。
しかも、この有岡大貴という人間。
私が今まで噂などを聞いてイメージしていた
『有岡大貴』像をことごとく裏切ってくる。
『格好つけてて、モテて、チャラくて、とにかく軽い奴』
というイメージで、出来ればあまり関わりたくないとすら思っていたんだけど。
ロングホームルームで初めて話して、
何となく予感はあった。
まず席替え二日目でお腹ぐーぐー鳴らして早弁。
授業中は大口開けてヨダレ垂らして、
目も半目で爆睡。
と、まあ決して『格好つけてる』人はやらないであろう所業をかまされ、更にイメージが狂った。
極めつけは、どうやら早速一年女子に告られたらしく冷やかしてやったら、
「おまえな、相手をなるべく傷付けないように断るのって結構大変なんだからな」ときたもんだ。
またそれを嫌味に感じさせずサラッと言う。
有名人だからって気取ってるわけでもなく、
明るく気さくで楽しくていい奴。
有名人、と敬遠して変に意識してた私の方が有岡に対して失礼で。
噂ってアテにならないな、と痛感した。
528人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:環 | 作成日時:2018年1月26日 17時