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有岡の彼女みたいだという、
自分の長い髪が堪らなく嫌だ。
そう思った瞬間、私は躊躇いもなく机の上のペン立てに挿さっていたはさみを掴んでいた。
無造作に髪を掴んで刃を当てる。
髪おろしてると雰囲気違うなって思って。
いいと思うよ。
おまえ、髪キレイだもんな。
似合ってる。
夏休みに会った時の夕日に照らされた有岡の顔が脳裏を過ぎって消えた。
あの時の笑顔と今日の笑顔は変わらないのに、
有岡の心だけはどうしようもなく変わってしまった。
それでも。
彼女の髪を見た時に、
私のことを思い出してくれた？
彼女といた時に、
私のことを一瞬でもいいから思ってくれた？
ねえ、その一瞬だけでも。
ぽたり、と涙が零れ落ちて、
私は初めて泣いていたことに気が付いた。
力なくその場に座り込む。
かしゃん、とはさみが音を立てて床に落ちた。
救いようのない、
暗い感情が私の中に渦巻いている。
こんな感情は知らない。
今まで経験したことなんてない。
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作者名：環
| 作成日時：2018年1月26日 17時
