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分からない。
さっぱり分からない。
もしかして怒らせてしまったのか。
暫く沈黙が続いた後、
ふと有岡が歩くペースを落とした。
私もつられて歩調を遅め、
何かと思って有岡を見る。
有岡は幾分口を開くのを躊躇っているかのように見えたけれど、ようやくゆっくり言葉を紡いだ。
大貴「Aさあ、修学旅行の時俺のこと『モテるし付き合いまくってる』って言ってたじゃん」
A「え？うん」
突拍子のないことを言われて
何をいきなり、と思いつつもとりあえず頷いた。
大貴「確かに自分でもサイクルは早いと思うけど。でもさ、一つ一つの恋愛に対しては真面目に考えてたりするよ、俺は」
A「……そうなの？」
大貴「…そうなの！そりゃ想い入れは大小あるけど、バイトとか忙しいのにどーでもいいやつと付き合うわけねーじゃん。
ちゃんと好きで『いいな』って思った子としか付き合わねーよ」
私が思い切り意外そうにしたのが不服らしく、
有岡は少々ムキになって語気を強める。
そう言われてみればそうだろうとは思うし、
修学旅行の時だって意外に献身的なことに驚いた。
けれど、有岡がここまできっぱり言ってくるとは思わなかった。
話がますます見えてこなくなって
何も言えないまま有岡を見つめる。
私の視線を意識してか、
有岡は目を伏せて俯いて
それから何かを決心したように顔を上げた。
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作者名：環
| 作成日時：2018年1月26日 17時
