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大貴「A?」
A「え?ううん、何でもない。それよりさ、」
成功してるか分からないけど
何とか平静を装って話題を変える。
A「その荷物。どうしたの?」
大貴「んー、ちょっと一人旅?
楽しかったんだけど、もーすっげー疲れた〜!めっちゃ歩いたし足パンパン!」
一気に捲し立てた後、
日に焼けた顔でくしゃっと笑う。
なんだか久々に有岡の笑顔を見た気がする。
だからなのか、思った以上にドキッとした。
大貴「そーゆーAは?」
A「ん?図書館行って自主勉強ってとこ?
家いるとごろごろしちゃって」
大貴「うわ、まじ?」
そうだよなー、受験生だもんなー、と思い出したようにぼやく有岡に、私はふと思ったことを訊いてみた。
A「有岡は進路、どうするの?」
大貴「…わっかんね。どーしよっかな」
相変わらず適当な有岡に、
ちょっと真面目に心配になる。
A「…それ大丈夫なの?もうすぐ二学期だよ」
大貴「いくつか選択肢があってさ。
今バイトしてるとこでそのまま働くとか、バイト続けながら通えるとこ行くとか。
まーそろそろマジで考えないとな。
ってか、俺が入れる大学ってあんの?」
A「そっかー消去法で大学は断念かー」
大貴「うわ、それかっこ悪りぃー」
げんなりした声を出す有岡に、
笑ってはいけないと思いつつも笑ってしまう。
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作者名:環 | 作成日時:2018年1月26日 17時