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A「……さっきはいきなりだったし、動揺して未練とか僻みなのかなって思ったけど……そういうのとはちょっと違うかも」
気が付いたら切々と心情を有岡に語っている自分がいた。
何でこんなことを言っているのか、自分でもよく分からない。
でも、今私は有岡に話したかった。
有岡になら普段誰にも話さないようなことも話せる気がした。
同じ日に振られた、という事実が、私に仲間意識みたいなものを持たせているのかもしれない。
全くの私の思い込みではあるけれど。
A「そりゃ振られた時はショックだったけど、向こうは私から気持ちが離れちゃったんだから、とやかく言ったって仕方ないでしょ?
最初は辛かったけど、今は別に平気だったのに…
何でだろね。
自分の知らない彼の姿を見せつけられた感じ?
あー、私ってもう過去の人なんだー、って。
変だよね、
ヨリ戻したいわけでもないのに自分勝手」
大貴「…んなことねーだろ。終わったとはいえ特別だったやつのことなら、少しは何かしら思うんじゃねーの」
答えはそんなに期待していなかった。
ただ、この機会に自分の想いを一気に吐き出してみよう、と思ったくらいだった。
だから、意外な言葉をかけられて、
思わず有岡の方に顔を向ける。
大貴「俺なんかいーっつもそうだもん。もうね、多すぎて困っちゃう」
A「…あ、そう」
大貴「…っつーのは半分冗談で」
有岡は私と目を合わせると二カッと笑った。
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作者名:環 | 作成日時:2018年1月26日 17時