私の推しは久々知兵助くんだが、今告白されてるのは竹谷八左ヱ門くんで…あれ〜？陸っ！

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母屋から目と鼻の先にいる離れに祖父母がいることが多い


祖父母がいるであろう居間に向かって「お祖父様、お婆様いらっしゃいますか」と尋ねれば「はいどうぞ〜？」という祖母の声が帰ってきたため、その言葉をきっかけに戸を開ける


「失礼します」

「あら…！Aちゃん帰ってきたのね〜！」

「お久しぶりです
お祖父様お婆様、お二人ともお元気そうで何よりです」


正直に言おう


私はこの時、とても緊張していた


そのわけは【祖父】である


「…お前は相変わらず嫁ぎ先も見つけずにのうのうと帰ってきたのか」

「ちょっと貴方…」


ここで祖母が止めても祖父が機嫌を悪くし、祖母にあたる
そうさせるわけにはいかない
祖父に一度、頭を下げては私は大丈夫ですと笑ってみせる


「ご心配をおかけして申し訳ございませんお祖父様
学園で勉学に勤しんではいるのですが…」

「全く


だから忍術学園で花嫁修行なぞ
無意味だと言ったんだ
それなのにあいつは…刀鍛冶としての腕以外全部なっとらん
特に娘であるお前の躾がな」


嗚呼…父上…ごめんなさい

普段からも私のことで色々と祖父に言われているのでしょう
それを私に感じさせないように振る舞ってくれて
なんだかんだ焦らずに私を待っていてくれる
貴方の娘で本当に良かった


祖父と父に対する申し訳ないという気持ちが
頭をさらに下げる重みになる


「申し訳ございません…
今日は私の後輩を我が家に呼んでいるのです
騒がしいかもしれませんがどうかよろしくお願いします」

「要件はそれか、さっさと去れ」

「ご…ごめんなさいね〜Aちゃん
せっかく帰ってきたのだからゆっくりしていってね…？」

「ありがとうございます
では私はこれで」



祖父母に下げ続けた頭をようやくあげて私は離れから去り
両親達がいる母屋に戻る前に一息つこうと中庭で深呼吸をする


別にこんなこといつものことだ
それにこの時代、私の年齢であれば伴侶を迎えても良い年頃で祖父が私に対して罵声を送るのは当然のことなのだろう

郷に入っては郷に従え

いくら前世がこの時代よりも遥かに時を重ねた時代でこの時代の考えが古く、改めなければならないと言われていてもこの時代で生きる以上仕方がないことだと私は捉えている



それでも私は祖父の望みに応えられないでいる
そして、そのことに疲れてしまう私もいる


「これだけは…ちょっと堪えるよね」


少しの寒さを感じれば
私の足取りは思いながらも母屋へと向かうのだった

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