43 ページ43
「じゃあ俺たちは行くから
お前も頑張ってゴールまで辿り着けよ」
「はい先輩」
Aの頭を撫できって満足した潮江先輩が他の六年生たちと共にその場から去ろうとする
その隙を逃さないように僕はAの隣へと極自然に移動する
やっとこの位置につけた…！
やっぱり僕が落ち着けるのはAの隣だと
痛感しているのに
Aはまだ僕が隣に来たことに
気づいてないんだろうなぁ
またいつもみたいに驚いてくれたりして
それできっとまたちょっと怒るんだろうなぁなんて
そんな近い未来を想像すると笑い声が漏れてしまいそうだ
あっちは…笑い声とは縁遠いようだけど…
「お前たち？わかってるだろうな？」
「言われなくてもわかってますよっ！！！」
立花先輩が言いたいのはつまりこういうこと
『お前たち我々に一位を譲れ』
ってね？
まぁ、だから三郎がこういう態度になっちゃうのも
皆わからなくもない
でも、三郎が感情をこんな風にあらわにするのを立花先輩もあと他の六年生の先輩も面白いのか
クスッと笑って僕らの元から去っていった
それからAは引き継ぎ勘右衛門の手当てを行いながら兵助と八左ヱ門がどんなに目に遭ったのかを聞かされ
先輩達が満足するであろう
その時間まで留まった
「はぁぁ…これくらい時間が経てばいいだろ…
行くかぁ…
二位だけど…二位だけどな！！！」
月の位置を確認して
三郎は重たい腰を上げる
そんな三郎をさっきの先輩達みたいに勘右衛門も揶揄う
「根に持ってんじゃん〜三郎〜
あ、A手当てありがとうな」
「ううん無理しないでね？」
「わかってるって！」
Aの手当てのための手からも
側からも離れ、兵助と八左ヱ門と話しながら三郎を追いかけては三郎も会話に混ぜろうとする
それを僕は意識して見ていた
A
また手繋いでとか言ってくれないかな
それとも僕から言っちゃえばいいのかな
ううんでも
なんかAから言って欲しい気分だ
「あ…待って雷蔵くん」
『来た』と僕は思った
や、やった…！
Aからきっと手を繋ごうって言ってもらえる…！
そのことばかり考えて
心臓の音になんか目もくれない
ましてや返事も曖昧なものになる
「な…なに…？A？」
「【怪我】
雷蔵くんの方が勘右衛門より酷いんだから…
手当てするの遅くなってごめんね…？
もう行かないとだけど…
酷いところに薬塗るから手出して貰えるかな…？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えびてん(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさんまたコメントしていただき本当にありがとうございます！✨不破くんの心理描写はどう書いたらいいのか悩んだところだったので、読み取ってくださる方がいて本当に嬉しいです…！頑張ります！ﾂﾝﾃﾞﾚｻﾌﾞﾛｰ「ｵﾏｴﾎﾝﾄｷﾗｲ（ﾉﾊﾝﾀｲ）」 (5月18日 23時) (
レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん - 雷蔵の複雑な心理描写がすごく上手です！自分も自分の友達も主人公のことが好きででも僕はその気持ちに気づいていない、気づいていない振りをして感じがして、あぁ……ってなりました！これからも頑張ってください！ﾂﾝﾃﾞﾚｻﾌﾞﾁｬﾝｶﾜｲｲﾈ！ (5月18日 18時) (レス) @page45 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
のんさん(プロフ) - えびてんさん» www面白い (2023年1月8日 0時) (レス) @page49 id: fe8741111e (このIDを非表示/違反報告)
えびてん(プロフ) - のんさんさん» とても面白いお母さんにしてる笑 (2023年1月7日 21時) (レス) id: 88e3093851 (このIDを非表示/違反報告)
のんさん(プロフ) - wwwwお母さんww 好きだww (2023年1月7日 20時) (レス) @page49 id: fe8741111e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えびてん | 作成日時：2022年10月19日 21時
