大好きでした。 (ページ5)

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「…ふたりとも、先輩の話はもういいから！」

そう言って、グラスに残ったビールを煽った。

正直、あまり先輩の話をしないでほしい。
忘れようとしている彼のことを思い出してしまうから。
SNSも咲樹が言うように
未だに気になるからフォローしている。

自分でも引くくらいに、
私にとって"先輩"という存在は大きかったらしい。

“はいはい笑
いまの夏菜子には、ショウタくんがいるもんね～”

《そうじゃん！アプリで出会った彼とはどうなのよ？》

「どうって…特に変わったことはないよ。
　良くも悪くも何にもない」

そう、先輩のことを未だに気になる私にも
今はショウタという彼氏がいる。
社会人にもなって、彼氏いない歴＝年齢だった私は、
さすがにヤバいと思って、マッチングアプリとやらを始め、
半年前にショウタと付き合い始めた。

“なによ～、倦怠期？”

「倦怠期というか…最近忙しいって言われて
　全然会えてない」

《え～、浮気とかされてない？》

「どうだろ…案外そうだったりして笑」

先ほど追加で注文したビールを、グイッと飲んだ。
なんとなく、そんな気がしなくもないから
強く否定はできない。
それに、未だに先輩への未練が拭いきれない私が
彼の浮気について、どうこう言う資格もないと思ってる。

「もし、浮気だったとしたら、ちゃんと話し合うし
　その結果がどうなってもいっかなとは思う。
　真優と咲樹と3人で遊んだりできたら、
　今はそれで楽しいからさ笑」

“おーおー笑
嬉しいこと言ってくれるけど、
ショウタくんのこと大事にしなよ？”

《まあでも、3人でいることが楽しいってことには
　私も同意だわ～》

“お？じゃあ改めてうちらの友情に乾杯しちゃう？笑
はい、じゃあグラス持って…”

【カンパーイ！！！】

コツッと3人のグラスがあわさる音が
心地よく響いた。